2007年10月10日 (水)

地雷踏み隊は今日もゆく

名作を読んで浮かれている時にこそ地雷は踏んでしまうものです、いやホント恐ろしい。

今回扱き下ろしたいと思っているのは、「さちの世界は死んでも廻る」です。

女の子と男の子が付き合うことになりました。しかし女の子は事故で死んでしまいゾンビとして蘇ってしまいます。そしてなんと男の子はゾンビハンターだったのです。二人の恋の行方や如何に。

と、そこだけ見ればありがちとか王道とか言える設定なのですが、この後の登場人物の心の動きが全く理解出来ません。こんな感じ。

男の子がゾンビを狩ろうとしたところ、そのゾンビは女の子だったものですからなんとか思いとどまり、ゾンビハンターの組合の方針に逆らってでも彼女を守ることを誓います。しかしながら復活した彼女には何故か男の子への思慕の情は残っていませんでした。そればかりか殺されかけたことに対して異常にムカついたので、自分から告白したくせにこっぴどく振ってしまいます(ちなみに告白からこの場面まで1日経っていません)。根がドMなのかむしろ盛り上がってしまった男の子はさながらストーカーのような執念で女の子に付き纏います。

一方女の子は早速新しい恋を探しに出掛けますが、転びそうになったところを助けてくれた少年に一目ぼれしてしまいます。この少年というのがストーカー元彼の弟でありまして、弟は彼女の兄に対する仕打ちに憤慨し、色仕掛けで彼女を嵌めてぶっ殺すという作戦を立てていたのでありました。首尾よく女の子を捕獲した弟ですが、女の子がやたら強く、返り討ちにされてしまいます。この罠を元彼で現ストーカーの兄の差し金だと勘違いした女の子は、彼を呼び出します。呼び出された彼は訳の判らないまま彼女と対峙することに。ストーカー並の執念で彼女に執着していた彼ですが、目の前で弟を殺されそうになり流石にブチ切れです。

なんとか彼女にとどめを刺すだけ、という状況まで持っていった兄ですが、ここで弟からまさかの「待った」コール。色仕掛けの発端となった(転びそうになったのを助けてくれた)男の子は実は兄で、自分はその状況を利用して君を騙したんだ、だから君が好きなのは兄で間違いないんだ、ということだそうです。忍法かなんかで兄を兄と認識出来ないようにしていたようです。

「なーんだ。じゃあ私たち(僕たち)また付き合おっかー。」めでたしめでたし。

これでも頑張って要約したんですよ?

読み終わった僕がまずしたのはというとラノベ読みの友人にこの作品の危険性を伝えることでした。被害者を増やしてはいけません、悲しみの連鎖はどこかで断ち切るべきなのです。

実は前に書いた「学園カゲキ」という作品とこの作品、同じレーベルから発売されています。僕はこのレーベルの作品をこの2作しか読んでいないのですが、今までの読書歴の中でワースト2と言っても良いくらいのクオリティーに驚きです。ラノベってやっぱりテンプレートをなぞっただけの作品とか萌えオタに媚びて売ろうとしてる作品とか多くて、とても全体的なレベルが高いとは思いませんが、それでも他のレーベルはここまで酷いもんを出してこねえぞ、と。地雷踏みにも色々あって、アレとかソレとか確実に人様にお薦めできるクオリティーは持ち合わせていないけれど、楽しく扱き下ろせる地雷というのもありまして、そこら辺がラノベの持っている魅力だったりする訳です(気が向いたらそのうち紹介します)。せめて面白い駄作を出せるようになってくださいガガガ文庫さん。じゃなけりゃマニアックながらも意外と良作の多いGA文庫と名前が紛らわしいんでとっとと消えてください。

2007年9月23日 (日)

そうだ、酷評しよう1(仮)

シリーズ化しようかともちょっと思ったので(仮)と付けときます。

何かと言いますと、僕が目にした耳にした小説音楽etcで自分ひとりで片付けられないくらいモヤモヤした作品を文章にして扱き下ろすことで、ちょっとでも溜飲を下げようという下衆な企画です。カテゴリー名も下衆で。

んで、ネガティブアピールなんで、通常の紹介のようにタイトルを「作品/作者」で表記したり画像をどっかから持ってきたりとかはしないです、ネタバレ配慮もしませんっていうかネタバレなしじゃ叩きにくいんで。

それでは第一回目、「学園カゲキ」というラノベです。

とりあえず簡単に話の流れを説明しようと思いますが、作中の設定をいちいち説明するのがめんどいので、似たような状況で喩えて説明することにします。

女の子が男の子に告白しました。実はこれは罰ゲームで、一喜一憂するクラス一の天然の男の子を見て楽しむためにいじめっ子たちが女の子にやらせたことだったのです。

しかし女の子は男の子を騙して付き合っていく内に彼の純粋さに魅かれ、本当に恋に落ちてしまいます。そして良心の呵責に耐えかねた女の子は男の子に自分が男の子のことを騙していたこと、それを見てクラスの皆が楽しんでいたことを話してしまいます。

酷く落ち込んで登校拒否になる男の子。一方女の子は男の子に本当のことをばらしてしまったことについていじめっ子たちから責められて新たないじめの対象になってしまいました。

それを見た男の子の親友A君は、自分も仕掛け人だった癖に、世を拗ねてひきこもりになった男の子に大上段から説教をかまし、女の子を助けなくてもいいのかと迫ります。何故かその説教にほだされ、騙されていたにも関わらずまだ女の子のことが好きだとお目出度いことを言い出した男の子は、もう一度自分がいじめっ子たちの娯楽の対象になることで、女の子をいじめから救うことができました。こうして二人は本物のカップルになりました。めでたし、めでたし…

この作品独自の設定を端折っているので、細かい違いはありますが概ねこんなとこ。

えーと、どこにカタルシスがありますかね…コレ。いじめっ子は何一つ痛い目を見ないで終わってしまうんですが…。男の子に対する贖罪も誰一人していないんですが…(女の子が真実を話すシーンでも、「ドッキリでしたーっ」って言うだけ。良心の呵責に耐えかねてっていうのも後からいじめっ子に責められるシーンでわかる。ちなみに男の子にそのことがわかるのはA君が説教を垂れに来る場面。)

一応、ぜーんぶひっくるめてやらせでした、というメタ的なオチにも読めるようにはなっているのですが、だったら尚更この展開はいただけません。というのもですね、上の例になぞらえて説明すると、隣のクラスにB君という人がいて、彼は男の子が騙されていることは知っているのですが(この時点でB君と読者は同じ立場)、実は上の展開総てがB君を感動させるための茶番だった、というオチ(最後の最後で読者にB君より上空の視点が与えられる、B君はそれを知らない)になっている訳です。つまり、オチ前の段階でB君(=読者)が感動してないとオチはサプライズたり得ないんですよ。最終的に読者には、登場人物だけが満足して読者がおいてけぼりのつまらない小説を読まされた人(=B君)を見る人、という大変奇妙な立場が与えられることになります。これは、B君=読者で終わるよりも性質が悪いんではないかと思うのですがいかがでしょう。

意外と罵倒が少なめになってしまいましたが、文章にすることで胸の中のモヤモヤが少し晴れました。続けていこうと思います。

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